白醤油の醸造所で職場体験をしてきました!
- Junna.K

- 10月12日
- 読了時間: 7分
こんにちは!10月に入り、京都は少しずつ涼しくなってきました。
お寿司には欠かせない醤油についてさらに深く学ぶため、先日私は愛知県碧南市にある「日東醸造」さんにて醤油作りを学びました。今回のブログは、昔から続く日本の伝統的な「醤油」作りについて学んだことや感じたことを書きました。とっても興味深い内容になっていると思いますのでぜひ最後まで読んでもらえると嬉しいです。
日東醸造
1938年設立。愛知県碧南市に本社を構え、白醤油の醸造をされています。また本社から車で約2時間、豊田市足助の山奥にある足助仕込み蔵では、独自の製造方法で作られている小麦醸造調味料の「しろたまり」を醸造しています。
白醤油としろたまり
日本の家庭料理では欠かせない醤油。一般的に使われるのは「濃口醤油」と言われるお醤油です。濃口醤油は、原材料の大豆と小麦を1:1の量で仕込むお醤油で、旨みと香りのバランスが一番ベーシックな醤油です。
今回行った日東醸造は、濃口醤油ではなく「白醤油」を作っています。醸造所のある碧南市は白醤油発祥の地で、この辺りの地域では白醤油が昔から食べられていました。白醤油は昔は料理屋さんで使われることが多く、その用途は色をつけたくない料理に使うということでした。味でも見た目でも素材の良さを活かす醤油です。
白醤油は大豆と小麦の量を1:9の量で仕込む醤油です。大豆が少ない分旨みが弱いですが、小麦の香ばしい香りや甘さが強くなるのが特徴です。また、小麦の量が多いため熟成後も色がつきにくい事も特徴です。
そして白醤油とは別に「しろたまり」という醤油も作っています。この醤油は日本で唯一日東醸造でしか作っていないとても貴重なお醤油です。
作り方は白醤油とほぼ同じですが、「大豆を使用しない」ことが一番の特徴です。大豆を使用しないので、白醤油よりももっと透明に近い「琥珀色」をしています。

しろたまりを醸造する「足助仕込み蔵」
白醤油としろたまりは別の場所で仕込み・熟成されます。
昔から白醤油を作ってて白醤油の弱点である「塩辛さ」を変えていきたいと考え、生まれたしろたまり。
開発当初は、「小麦の量を増やせば甘味が出て、塩辛さがなくなるのでは?」と考え、どんどん大豆の量を減らして醤油作りをしたそうで、それが最終的に小麦と大豆10:0になったそうです。しかし、それで完成したのではなく、次なる課題が出てきました。大豆を0にし小麦の割合を増やしたことで、甘味は出たものの、旨みが極端に減り、腑抜けた味になってしまったのだそう。次は麹の量を倍にして作ってみたところ、味はとても良くなったが、色が濃くなってしまい、白醤油の特徴が消えてしまいました。
そこから麹の作り方を見直し、独自の製造方法を見つけ、今の「しろたまり」が誕生しました。
しろたまりが誕生して10年、代替りし現在の社長蜷川洋一さんのしろたまり作りが始まります。最初は碧南の本社でしろたまりを作っていましたが、水道水を使っているのが気になり出し、おいしい水を探し始めました。洋一さんは、ある日足助町の山あいの集落、大多賀で湧水の存在を知りました。彼は味見をしたところ、軟水で少し甘みを感じやすい柔らかく美味しい水がとても気に入りました。それを碧南(白醤油を作る醸造所)に持ち帰って作ろうとしたが、周りを見渡すと、井戸水の隣に廃校になった小学校を見つけ、しかもその周辺の昔ながらの住宅や綺麗な自然環境に魅了されたそうです。碧南に持ち帰るはずが、廃校になった小学校をリノベーションし、木桶を置いてしろたまり作りを始めました。
職場体験 足助編
ここまで、日東醸造の歴史やしろたまり誕生のストーリーを書きました。ここからは私が体験した醸造所での醤油作りについて書きます。まずは「しろたまり」を作っている足助仕込み蔵での作業です。
本社から車で約2時間かかります。職場に行くだけですごく体力を使うような道中でひたすら山道を登って到着します。
・足助で行った作業は、まず木桶のコックを取り付けることです。
ここは、完成したしろたまりが出てくる場所です。このコックをしっかり付けておかないと、熟成中に漏れてくるのでとても大事な工程です。
最初に、木と木が触れ合うことで木が劣化するのを防ぐためコックの先端に和紙を巻きます。その後、コックを木桶に挿入し、木槌で打ち付けます。最後にコックが外れないように糸でしっかりとめて仕込みの準備が完了です!

仕込み
・食塩水を作る
足助の水をポンプで送ってきて、タンクに入れます。その後決まった量の塩「海の精」を入れ、攪拌機で25分ほど混ぜて完成です。
・木桶に食塩水を入れる
作った食塩水をホースで木桶に送り入れます。

碧南本社から麹を持ってきて木桶に入れたら仕込み完了!それから1日から4日後に醪の表面に布と木の板で蓋をして、水の重し(青い袋)をします。
この工程は醪の表面を乾燥させないために行います。重しをして食塩水を表面に含ませています。
・熟成・発酵 約3ヶ月
仕込みが終わったたくさんの木桶が藏の中にはあります。
・生引き
しろたまりを木桶から出し、足助蔵から碧南の蔵に運び濾過する。

・作業が終わったら掃除も欠かせません!
作業に必要な道具を使い終わったら丁寧に片付けるということを繰り返し、常に蔵を綺麗な状態に保たれていました!

職場体験 碧南編
最終日は白醤油を作っている碧南本社で作業をしました。
ここでは、麹作りや足助から運んできたしろたまりの濾過、瓶詰めや白醤油の仕込みなどが行われています。
・まず最初に体験したのは、搾りを終えた白醤油の粕を袋から出す作業です。
1枚1枚丁寧に出して、布に粕が残らないようにします。粕が残ると次に布を洗濯する人が大変になるからです。
自分の仕事を早く終わらせることを考えるのではなく、次の人にも仕事をしやすい状況でバトンタッチする姿勢がとっても丁寧に仕事をされているのだと感じました。
・次に製麹を見学しました
製麹機は「トロンメル型」と呼ばれる非常に珍しい形の機械で作られます。
この機械を使うことで、菌感染のリスクを減らすことができるそうです。アミラーゼ活性の高い麹、つまりデンプンを糖に変える力が強い麹を作ることができ、糖度の高い白醤油ができます。
麹が完成したら、ホースで仕込み用のタンクに移します。
白醤油は、1つ1万リットルのサイズの、FRP(繊維強化プラスチック)のタンクで仕込まれます。これは水や塩に強いのが特徴のタンクです。1つのタンクから8,000リットルの白醤油ができます!
・次は濾過の見学です。
しろたまりと白醤油の濾過が碧南本社で行われます。
濾過は最低2回行います。彼らは珪藻土を入れてその小さい穴でオリや微生物を取り除きます。
この工程も5分ごとに濾過機の圧力や珪藻土を入れた量などを細かく記録されていました。
・最後に体験したのは、白醤油を圧搾する前の醪を布に入れる工程です。
布に包むだけの簡単な工程に見えるのですが、実際行ってみるととても大変で驚きました!
9-12Lの醪を一つの袋に入れ、それを110-120袋重ねて圧搾します。白醤油は、圧搾した後に濾過を行います。
最後に
素晴らしい調味料を作る人は、とてつもない努力をしていることを感じました。私は3日間体験しただけだけど、作り手の人は毎日同じ作業を繰り返している。そんな中で丁寧に効率よく作業をされているのは本当にすごいことだと思います。
消費者として美味しいお醤油を食べ続けることができるのも日々醤油作りに励んでいる人たちがいるからなのだと、感謝の気持ちが止まりません。
昔から受け継がれる歴史と伝統ある日東醸造のしろたまりを、私はこれからも色々な人に伝えていきたい。


































































コメント